Interview
miibo導入インタビュー
暮らしをもっと快適に!AI技術を次世代の家電へ。シャープが挑む「人に寄り添うAI」とは。
シャープ株式会社様
研究開発本部 ソサイエティイノベーション研究所 第四研究室 係長 蛭川 秀一 氏
Point
動機
・家電製品へのAI実装を目指す中で、短期間でのデモ開発が必要となった ・LLMフラットによる柔軟な開発アプローチとエッジデバイスとの高い親和性に魅力を感じた ・開発効率を高めるノーコード環境と、エンジニア間での円滑な技術コミュニケーションが可能だった
活用方法*
・会話型AIにより、ヘルシオ ホットクックに対して「自然な会話によるレシピ推薦」と「おすすめレシピのダウンロード」を実現 ・AIoTシステムとの連携により、レシピの直接ダウンロードから操作のサポートに至るまでシームレスに実現 ・『AI SMART LINK』のウェアラブルデバイスにも活用することを想定し、音声のみでユーザーとデバイス間コミュニケーションの実現を目指す (*開発デモであり、現時点で商品化されているものではありません。)
導入効果
・エッジデバイスとクラウドのナレッジベース統合により、データ管理の最適化を実現 ・画面のないデバイスでの情報提供方法を確立し、直感的な対話を実現 ・テキストベースのコミュニケーションで一定の成果を上げ、音声コミュニケーションの基盤を構築への可能性
導入したきっかけ
「人に寄り添うAI」の実現に向けた、“爆速”でのデモ構築体験と、違和感なく触れた魅力
私が所属するソサイエティイノベーション研究所第四研究室は、8Kの映像技術基盤を活かしたAI技術の研究開発を推進しています。映像処理でのAI活用だけでなく、シャープの強みの一つでもある家電製品をはじめとした各種サービスへAIを浸透させることについても研究・開発を進めています。
私たちが目指すのは、「人に寄り添うAI」の実現です。ですので、従来のデバイス開発だけでは足りず、LLMまわりの導入についても検討を始めました。ただ開発を進めていくにあたり、社内外で何らかの形でデモを見せる必要があり短期間での開発が必要となりました。そんな中でmiibo様と出会いました。
miibo様を知るきっかけとなったのは弊社のオープンイノベーション部門を通じたABBALabとの連携でのことでした。"爆速で仕上げる"というキャッチコピーが印象的でしたが、実際に使ってみてその通りだと実感しました。
特に決め手となったのは、私たちが当初から映像関連でAIに接していたこともありますが、miibo様に関しては特に違和感なく触れることができたことです。また、プログラムに関する議論の意思疎通がやりやすいだけでなく、miibo様のLLMフラットによる柔軟な開発アプローチ、エッジデバイスとの親和性の高さ、そして開発効率を高めるノーコード環境は、非常に魅力的でした。またエンジニアの私たちとの打ち合わせでもコーディングなどの技術的に詳細な話もできスムーズに開発を進めることができました。これらが私たちの目指す方向性と合致したことで、導入を決定しました。

シャープ株式会社 研究開発本部 ソサイエティイノベーション研究所 第四研究室 係長 蛭川 秀一 氏
活用方法
「今日の献立は?」話しかけるだけで料理が始まる、ヘルシオ ホットクックの革新
弊社商品に、水なし自動調理鍋「ヘルシオ ホットクック」がありますが、そこにAIを実装することを検討しています。弊社の「AIoT」システムのAPIに、miibo様の会話型AIのシステムも連携させることで自然な会話によるレシピの推薦や本体へのダウンロード、さらには空気清浄機等の家電との連携操作などを検討しています。最近では2024年9月のCEATECにて、家電制御Web APIとの連携活用例として参考出展しました。
ユーザーは音声で好みや条件を伝えるだけで、適切なレシピの推薦を受け、その場でホットクックへのレシピデータの転送まで完了できます。この一連の流れをシームレスに実現することで、より自然な流れでの家電操作を可能にしています。特に、プロンプト技術については、私たちも驚くほどの性能を発揮しています。
また2024年9月に開発発表したウェアラブルデバイス『AI SMART LINK』の更なる開発も進めており、miibo様のシステムを活用することで、音声のみでユーザー・デバイス間のコミュニケーションを実現していきます。

株式会社miibo 代表取締役 功刀雅士
導入の工夫
データ管理の最適化と、直感的な情報提供や対話の実現
開発過程では、データ管理の最適化・効率的な運用が私たちにとって大きな課題となりました。この解消に向けて、エッジデバイス用とクラウド用のナレッジベースの統合や、更新管理の一元化に取り組み、運用効率の向上を目指しています。これにより、私たちはエッジデバイスでの処理最適化を見据えた独自の知見を蓄積したり、最初は難しく感じたエッジLLMとクラウドLLMの使い分けにおける適材適所での活用方法が見えてきたりしました。
また、表示画面のないデバイスでの直感的なAIとの対話とその方法の確立にも注力しました。レシピのダウンロードについては特に苦労しましたが、そのお膳立てまではmiibo様で実施していただき、最終処理は弊社側で行うかたちで解決することができました。一方で、音声入出力をメインとするデバイスの場合、チャットボットとは異なりディスプレイを持たない環境下自体も課題であり、自然な言語会話でいかに情報を伝達するか、が開発のカギになると考えております。
miibo様のシステムでのテキストベースのコミュニケーションでは一定の成果を上げているものの、視覚的な情報に依存しない、純粋な音声コミュニケーションの確立に向けた音声認識の精度向上や自然な対話の実現に向け、引き続き開発を進めていきます。

シャープAIパートナー(デモ画面)
今後の展望
BtoCだけでなく、BtoB領域への「人と社会に寄り添うAI」の展開
「人に寄り添うAI」として進めるBtoC領域だけではなく、今後はBtoB領域に「人と社会に寄り添うAI」としても展開していきます。例えば、会議システムへのAI実装や企業向けエージェントソリューションの開発を進めるとともに、音声インターフェースの進化はもちろんのこと、プライバシー保護の強化にも取り組んでいます。
これからの時代、AIはますます身近なものになっていくことでしょう。その方向性の中で、我々は「気付かないうちにAIが生活に溶け込んでいる世界」を実現すべく、技術開発を続けていきます。
またAIをはじめとする弊社の若手エンジニアの技術革新への取り組みにも期待しています。若いメンバーはスポンジのように新しい技術を吸収し、様々な媒体や学術論文等から最新技術をキャッチアップします。この積極的な学習姿勢が、私たちの革新的な製品開発の原動力となっています。

2025年1月15日公開 ・ 文 小川・写真 森 アキラ・編集 埜口
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